子を育てるは、おこがましい

1. 子どもは「育てるもの」ではなく「育つのを邪魔しない」

  • 親や指導者が“育てよう”と手を出しすぎるほど、うまくいかなくなる。
  • 子ども自身が自力で成長できる力を信じて、見守る・伴走する姿勢が大切。
  • 手助けは「命に関わる」「本当に危ない」ときだけ必要。

2. 指導者・親の役割は「横に並んで伴走すること」

  • 上から引っ張るのではなく、横を一緒に走る。
  • 3つの質問だけを繰り返す:
    1. どうしたの?
    2. どうしたいの?
    3. 手伝えることある?

3. チームワークは「仲良し」ではなく「違いを認めて目的のために協力」

  • まず一体感を作ろうとすると失敗する。
  • 違いを認め合って結果が出始めると、自然に一体感が生まれる。

4. 自立した子どもに育てるには?

  • 手をかけすぎない。
  • ただし基本(危険・生活習慣・最低限のルール)は教える必要がある。
  • 親は「最後のセーフティネット」、先生は「途中のセーフティネット」。

5. 思春期の特徴への配慮

  • 小学生.中学生は最も不安定:精神的サポートが必須。
  • 高校生は“ほぼ大人”として扱い、信じて任せる。

6. 主体性を育てる教育(岡田さんの学校の考え方)

  • 一斉授業ではなく個別最適化(web教材・複数授業方式)。
  • 定期テストはしない、理解度を測る小テストのみ。
  • 「存在を認める」ためのリアルな接触が大事。
  • 寮生活は「親の過干渉」から離れ自立する効果が大きい。

7. スポーツへの期待を親がかけすぎてはいけない

  • プロになるのは極めて難しく、親が期待しすぎると子が潰れる。
  • スランプでもむやみに手を出さず、自力で上がってくる経験をさせる。

8. セレクションの加熱について

  • 親が“強いチーム=安心”と考えてしまうが時代は変わっている。
  • 「子どもが本当にどう思っているのか」を尊重すべき。
  • これからは“好きなこと・得意なこと”を見つけることが最重要。

家庭で使える「行動リスト」

(“育てる”ではなく“育つのを邪魔しない”ための実践集)

【1】子どもへの関わり方編

●1-1. すぐに口出し・手出しをしない

  • 子どもが失敗しそうでも、5~10秒だけ待つ
  • 親の行動方針は「命の危険以外は待つ」

●1-2. クッション言葉3つだけで関わる

困ったとき・悩んだときは、次の3つに徹する

  1. 「どうしたの?」
  2. 「どうしたい?」
  3. 「手伝えることある?」

→ 解決策は“親が言う”のではなく“子どもが言語化する”

●1-3. 子どもを「信じて任せたよ」と言葉にする

  • 結果ではなく選択を尊重する一言を習慣にする
  • ミスしても「やってみたのがいいね」で受け止める

【2】主体性を伸ばす日常の仕掛け

●2-1. 選択肢を渡して本人に決めさせる

例)

  • 今日の宿題 先にやる?後でやる?
  • お手伝い 何ならできそう?
  • 習い事 続けたい?やめたい?理由は?

●2-2. 家庭内に「責任を持つ小さな担当」をつくる

  • 玄関の靴そろえ係
  • 食卓の並べ係
  • ゴミの日のチェック係
    → 小さな成功体験が主体性の基盤になる

●2-3. 「計画 → 実行 → 振り返り」を一緒に1分でやる

  • 今日は何をしたい?(計画)
  • 実際どうだった?(振り返り)
  • 明日どうする?(改善)

【3】親の心の持ち方・姿勢

●3-1. 「正解を教える役」から降りる

  • 親の価値観で誘導しない
  • 子どもが違う考えを出したら “それもあり” と受け止める

●3-2. 結果より“プロセスの言語化”をほめる

OK例:

  • 「どうやって考えたの?」
  • 「工夫したところはどこ?」

NG例:

  • 「なんでこうしなかったの?」
  • 「もっと頑張れたよね?」

●3-3. 感情的になりそうな時は“いったん区切る”

  • 親自身が上手くいかない時は
    「今はちょっと気持ちの整理をしたい。後で話そう」
  • モデルとして“感情コントロール”を見せることが教育になる

【4】トラブル・スランプ時の対応

●4-1. すぐに解決策を与えない

→ 子どもが自分で底を打ち、上がる経験が大事

●4-2. ただ隣に“居続ける”

  • アドバイスより存在が支え
  • できるのは次の一言だけ
    「そばにいるよ。自分で考えられるから大丈夫」

●4-3. 成績・結果が落ちても焦らない

  • 親の焦りは子どものプレッシャーに直結
  • “今は伸びる準備期間”と捉える

【5】家のルールづくり編

●5-1. 「家族みんなで決める会議」を月1回

  • 親が一方的に決めない
  • 子どもに議長をさせてもOK
  • 目的:家族の“違い”を認める練習

●5-2. ルールは少なく・理由とセットで

例)

  • 「ゲームは××時まで」ではなく
  • 「睡眠を守ると次の日が楽だから××時まで」

●5-3. 破ったときの対応も“自分で決めさせる”

→ 自ら決めたルールのほうが守る力が強い

【6】思春期(中学生~高校生)向け

●6-1. 中学生には「安心の土台」を

  • 毎日1回、短くてもいいから目を見て話す
  • 否定より“受け止める”を多めに
  • 情緒が不安定なのは当たり前と理解する

●6-2. 高校生には“ほぼ大人”として接する

  • 生活時間・学習も本人に委ねる
  • その代わり「結果は自分で引き受ける」を共有

●6-3. 将来の話は“情報提供”だけ

  • 進路を親が誘導しない
  • 常に
    「あなたはどう思う?」
    を返す

■まとめ:家庭での基本ポリシー

1. 手を出しすぎない
2. 選ばせる
3. 子どもの言葉を引き出す
4. 伴走する
5. 信じて待つ

これを理解してもできない親御さんは多いそうで…

忍耐とか言ってしまう方もいるそうで…

文字に起こすと理解できて知っている程度では意識はできない。